工藤元(kudogen)公式 映画・ドラマ評論家

工藤元(kudogen)。1990年生まれの31歳。大阪府在住。 映画・ドラマが大好きで、年間200タイトル以上を視聴しています。工藤元(kudogen)公式では、私が実際に視聴した映画・ドラマを、あらすじ・ネタバレでご紹介。感想・解説・評価もあわせてご紹介します。

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クレーム対応のプロが教える3つの苦情対応チャンスと解決法

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この記事では、サービス業で長年顧客担当としてクレーム対応・苦情処理を行ってきた経験やノウハウをもとに、「炎上させない」クレーム対応について詳しく解説しています。クレームは早期に解決しないと長期化・拡大化・炎上する可能性が高く、適切なタイミングで適切な処置をすることが重要です。

この記事の概要

※2021年9月12日更新

この記事は下記の内容を解説しています。詳しい内容については各項目をお読みください。

  • 顧客から企業に何らかの申し出があったとき、「金銭」「物品」「特別待遇」「その他商取引上常識の範囲外の対応」であると判明した時点で、そのクレーマーを正当な要求を訴える顧客でなく悪意があるクレーマーに分類します。
  • 苦情を解決するチャンスと方法は、「謝罪する」「妥協する」「拒否する」の3つがあります。
  • 「謝罪する」解決法のポイントは、「謝っても済まない問題」になりがちな苦情を、「謝って済む問題」にしてしまう方法です。
  • 「妥協する」解決法のポイントは、顧客に共感を示すことで言い分を引き出し、実態を把握し「妥協点」を見つけるという方法です。
  • 「拒否する」解決法のポイントは、顧客満足ではなく危機管理の問題と捉え、一線を超えた要求には毅然と拒否する方法です。

クレームについての基本的な考え方

クレーム対応方法を解説する前に、まず、クレームについての基本的な考え方からおさえておきます。

企業・顧客とクレーム

商品やサービスを提供する企業にとって、すべての顧客を100%満足させることは、ある意味不可能な事と言えます。顧客と一口にいっても様々な人がいる以上、ある顧客にとっては好みの機能が別の顧客にとっては不要なものであったり、ある顧客にとっては嬉しいサービスが別の顧客にとっては逆に煩わしいものであったり、ひとつの商品やサービスで全ての顧客を満足させるのは難しいものです。

一方で顧客にとって、商品やサービスを利用したときに何らかの不満を覚えた時に、必ずその事実を企業側に伝えるとは限りません。ほとんどの顧客は「もう二度と買わない」「もう利用しない」などネガティブな思いとともに、その不満を胸にしまってしまいます。そういう意味で企業にとってクレームは、顧客の不満や要望が隠れずに表に出るわけですから、商品やサービスを改善する良い機会であるとも言えます。

一方で、そうした顧客からの要求であるクレームに対して対応を謝り、問題が長期化・拡大化する事例が散見されます。特に、現代はSNSなどのネットを通して、問題が容易に共有・拡散されてしいます。古くは東芝クレーマー事件、最近でもUber Eats(ウーバーイーツ)に返品を申し出でたところ配達員に料理を投げ捨てられた事件がニュースになり、SNSで拡散・炎上し大きなニュースになりました。

このように、クレームへの対応を一歩間違えると企業の存続に関わる重大な問題になるため、企業にとってクレーム対応・苦情処理の重要性が高まっています。

正当な要求をする顧客と悪意があるクレーマー

しかし現代では、正当な要求をする顧客がいる一方で、悪意があるクレーマーも増加しています。正当な要求をする顧客とは、商品・サービスに対する感想・要望・不平不満を企業(提供者)に伝えることを第一の目的とし、さらに、顧客がその商品・サービスの利用により損害を被っている時に限りその損害に対する補償や賠償を求めることを第二の目的としている人たちです。基本的には自分自身(顧客)と企業(提供者)とを対等な存在としてとらえ、常識の範囲内で自分の要求を伝える人達です。

一方で悪意があるクレーマーとは、商品・サービスに対する感想・要望・不平不満を企業側(提供者)に伝えることをそもそも目的としておらず、自分の要求を叶えることが目的となっている人達です。いわゆる「お客様は神様」的な発想で、自分自身(顧客)が企業(提供者)よりも上の立場として、恫喝や脅迫じみた言動で自分の要求を伝えるのが一般的です。

なお、こうした悪意のあるクレーマーはその目的別に3タイプに分類できます。

プロ・クレーマー

プロ・クレーマーはその名の通り、クレームをつけて金品をせしめることを生業(なりわい)としている人たちです。プロ・クレーマーにとって、商品やサービスの不満や不平を企業側に伝えることは目的でなくあくまで手段にすぎません。いわばそうした「クレームの種」を粗探しして、それをネタに金品を得ようとする人達でもあります。

場合によっては、商品・サービスを購入する前に「クレームの種」を見つけたり、考えておいたりしてから、後日クレームをするためにその商品・サービスを使用・購入する場合さえあります。

こうしたクレーマーは、狡猾で逆に恫喝や脅迫になるような言動を避ける事が多いですが、とにかく当方としては不当な要求には屈せず、かつ言質を取られないように慎重に対応する必要があります。必要に応じて弁護士や警察(なかなか民事には介入しないことが多いですが)の協力を得ることも重要です。

鬱憤を晴らしたいクレーマー

鬱憤を晴らしたいクレーマーとは、商品やサービスの不満や不平を企業に伝える、あるいはそのことにより何かを要求するということよりも、商品・サービスと全く関係ない仕事やプライベートでたまった鬱憤を、企業のクレーム担当にぶつけて晴らしたいということが目的です。このタイプのクレーマーにはプロ・クレーマーのように、あわよくば金品を得ようとするタイプも一部含まれます。

こうしたクレーマーは、いきなり激高したり高圧的な態度に出たりする事も多いですが、普段から鬱憤が溜まっているところにクレームにつながる不平不満を発見し、勢いでクレームを主張しているケースも見られます。そのため、当方としては粘り強く対応することが重要です。相手の話しを辛抱強く聞くことで、相手の気が収まったり根負けしたりして解決することもよくあります。一方で常習化するとプロ・クレーマーになる可能性もあるので注意が必要です。

その他のクレーマー

その他のクレーマーは、いわばクレームをつけることそのものが目的となっている人たちです。企業側が謝罪やどんな提案をしても納得せず、どうしても解決できない苦情や要求をする事そのものが目的になってしまっているのです。

その他のクレーマーが厄介なのは、常に自分の考えが全てであり理不尽で不当な要求をしていると認識していないため、そもそも何のためにクレームをつけているか自分でも分からなかったり、何を求めているのか自分でも忘れてしまっていたりするところです。

こうしたクレーマーは団塊世代でバリバリ働いていた高齢者に多いタイプで、場合によっては相手を困らせている感覚すらなく、むしろ商品・サービスを改善する機会を与えているといった、良いことをしている感覚すら持つ場合もあります。

こうしたクレーマーには、対応するだけ時間とエネルギーの無駄であり、まともに相手をすればするほど現場が疲弊していきます。こうしたクレーマーには「顧客満足」を追求するのではなく、「リスク管理」「リスク回避」の観点で、「相手にしない」という対応が求められます。

このように悪意があるクレーマーは3タイプに分類できますが、いずれにしてもクレームの目的が企業に対する正当な要求でなく、「金銭」「物品」「特別待遇」「その他商取引上常識の範囲外の対応」であると判明した時点で、そのクレーマーを悪意があるクレーマーに分類します。

クレームを解決する3つの苦情解決チャンスとポイント

クレームについての基本的な考え方を理解した上で、苦情を解決するチャンスと解決法について解説します。そのタイミングとポイントは大きく分けて3つあります。

謝罪する

クレームを解決する第1のチャンスとポイントは、『まず「お詫び」する』という解決法です。この解決法は、苦情を申し出られた顧客に対して、現場担当者が誠心誠意お詫びすることで、「謝っても済まない問題」になりがちな苦情を、「謝って済む問題」にしてしまう方法です。特にクレームの初期段階でこの解決法が有効になることが多く、とにかくできるだけ早く謝罪することが重要です。

クレームを受け付けた担当者によっては、「お詫び」「謝罪」することで、逆にクレーマーに言質を取られることを恐れる人もいますが、これは逆に「謝らなければ始まらない」と考えるべきです。スピーディに対応することで「謝って済む問題」になるクレームが、逆に心証を害してしまい、「正当な要求をする顧客」を「悪意があるクレーマー」に変えてしまう事もよくあります。

なお、謝罪により言質を取られることを恐れるのであれば、全体的にお詫びするのではなく、以下の2点に絞ってお詫びすると良いでしょう。

  1. 顧客が感じた「不快感」や「不満」を謝罪する(「ご不快な思いをさせてしまい」「ご不便をおかけしてしまい」申し訳ございません)
  2. 当方の「不手際」を謝罪する(「お手間をおかけしてしまい」「お時間を取らせてしてしまい」申し訳ございません)

また、クレームを現場担当者に1人で抱え込ませない仕組みづくりも重要です。クレームは担当者が隠したり、顧客への対応が遅くなったりするほど問題が大きくなるものです。そのため、現場担当者を含めて会社全体として次のような意識を持つことが大切です。

  • クレームは担当者だけの責任ではなく、上司や同僚を含めた会社組織で対応する問題であること。
  • 現場担当者に求められていることは「苦情を解決すること」ではなく、顧客から苦情の申し出があった際に「お詫びすること」と「上司に報告すること」であること。
  • 顧客からの申し出がクレームかどうか判断つかない場合や迷う場合は、とりあえず報告すること。

妥協する

第1の解決法でクレームが「謝って済む問題」になれば良いですが、それで済まなかった場合は「落とし所を見つける」事が必要になります。クレームを解決する第2のチャンスとポイントは、『実態を把握し「妥協点」を見つける』という解決法になります。

クレームを受け付けたらいち早く現場でお詫びするとともに、顧客が「何に不満を持っているのか」「何を不快に感じているのか」「何を怒っているのか」を把握し、顧客の言い分を聞いた上で妥協点を探す方法です。

顧客に共感を示すことで相手の主張を引き出すことがポイントです。共感を示すとは、「おっしゃるとおりです」「ごもっともです」などのトークやあいずち・うなずきなどで、顧客の言い分に寄り添う姿勢を見せる事です。

逆にやってはいけないのが、クレーマーを説得しようとか論破しようとする姿勢です。特に怒っていたり興奮していたりする顧客は、逆に常識や論理が通用しないことが多いです。「でも」「しかし」など反論したり、話の腰を折ったりする言葉は使わず、「失礼しました」「承知しました」と相手の主張を受け止め、一旦引き下がる事が大切です。

この「妥協する」プロセスは、顧客の主張をきちんと把握し、言い分に妥当性や当方の落ち度があるかどうかを確認し、当方が妥協すべきかどうかを判断する流れなります。ここで重要な点が、必ず現場で解決する必要はなく、その場で解決できなければ会社に持ち帰ることです。

言質を取ろうとしてきたり高圧的にその場で解決を求めたりする顧客に対しては、「私では判断できません」「今すぐには返答できません」「会社で協議して回答いたします」「いま結論を出すことはできません」などと即答できない事をお伝えし、やり取りをストップさせ、次の解決法に移った方が良いでしょう。

妥協点を見出すコツとしてはあらかじめ会社として「できること」と「できないこと」を明確にした上で、顧客に対して上司の承認を得た妥協の提案を行うことと、一線を超えた要求には応じないことです。特に悪質なクレーマー(金銭や特別待遇を要求)であればむしろ無理に解決しようとしない事が大切です。

拒否する

要求が「金銭」「物品」「特別待遇」「その他商取引上常識の範囲外の対応」であると判明した時点で、そのクレーマーを悪意があるクレーマーに分類します。この段階でのクレーム解決のチャンスとポイントは、『毅然とした対応で「拒否する」』という解決法です。

ポイントとしては、この段階になったら、顧客には1人で対応せず必ず2人以上で対応します。2人以上で対応するメリットは以下のとおりです。

  • 役割分担(1人が聞き役で1人が記録する)が可能になる。
  • 顧客とのやり取りの記憶や記録を承認できる。
  • 万一暴行などの危害を加えられそうになった場合、別の担当者が警察に通報できる。

また、会話は録音する(「齟齬があってはいけませんので記録させて頂きます」など事前に伝える)ことや、その場で「詫び状」や補償を約束する「一筆」は入れないようにします。さらに、顧客のもとを訪問する場合など、あらかじめ滞在できる時間を伝えておいて長居をせず帰るきっかけをつくっておくことも、良い施策になります。

こうした対応の具体的な方法については、会社として「クレーム対応マニュアル」や「反社会的勢力排除規程」などを整備しておきます。

一線を超えた要求に対しては断固として「申し訳ありません」「無理です」「恐れ入りますができかねます」などのトークで拒否し、特に「金銭」「物品」「特別待遇」「その他商取引上常識の範囲外の対応」などの要求については、法律・人権・社内規程に照らしてできないことを、毅然とした態度で伝えると良いでしょう。

なお、悪質なクレーマーに対しては、会社の方針を顧客満足ではなく危機管理として、総務部門経由で弁護士に依頼するなど粛々と対応していくことが重要です。この段階以降は、妥協せずに徹底的に争うことが、会社の方向性をぶらさない意味でも従業員を守る意味でも重要です。

この記事のまとめ

この記事で解説した内容をまとめました。

  • 顧客から企業に何らかの申し出があったとき、「金銭」「物品」「特別待遇」「その他商取引上常識の範囲外の対応」であると判明した時点で、そのクレーマーを正当な要求を訴える顧客でなく悪意があるクレーマーに分類します。
  • 苦情を解決するチャンスと方法は、「謝罪する」「妥協する」「拒否する」の3つがあります。
  • 「謝罪する」解決法のポイントは、「謝っても済まない問題」になりがちな苦情を、「謝って済む問題」にしてしまう方法です。
  • 「妥協する」解決法のポイントは、顧客に共感を示すことで言い分を引き出し、実態を把握し「妥協点」を見つけるという方法です。
  • 「拒否する」解決法のポイントは、顧客満足ではなく危機管理の問題と捉え、一線を超えた要求には毅然と拒否する方法です。

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