公開初日の6月5日(金)に実際に映画館で鑑賞した映画『ANNA/アナ』のあらすじ内容をネタバレで紹介、ストーリーや伏線、結末・ラスト、感想・評判を詳しく解説しています。
2020年6月5日(金)、公開初日の朝イチに映画『ANNA/アナ』を映画館で鑑賞してきました!詳しい内容・ストーリー・伏線、結末・ラスト、感想や評判・評価、監督や俳優・キャストを紹介します。
目次
映画『ANNA/アナ』の基礎知識
映画『ANNA/アナ』を100倍楽しむための基礎知識をご紹介します!
簡単なあらすじ
※完全ネタバレのあらすじのため、鑑賞前の方はご注意ください。
アナは軍人を父に持つ裕福な家庭に育ちましたが、両親の事故死をきっかけに底辺まで落ちて暴力・性虐待・ドラッグに苦しみます。アナの経歴に目をつけたKGBのアレクセイに誘われ、いつか自由を得る条件でスパイになります。
アレクセイや部長のオルガの訓練を受けて暗殺や情報収集など任務をこなします。途中でアナはアレクセイと恋仲になります。しかしKGB長官のワシリエフにより自由を得る約束は反故にされ、アナは絶望します。
そんな時、アナはある任務に失敗してCIAに捕らわれて二重スパイになります。CIAのレナードから完遂したらハワイで自由に暮らすという条件で、ワシリエフの暗殺という危険な任務を受けます。アナはレナードにも惹かれ、2人は愛し合います。
二重スパイはKGBにはバレませんでしたが、オルガには見透かされていました。しかしオルガは、長官の座を狙う野望のためアナにワシリエフを暗殺させます。レナードはアナを救出に来ますがアナは行方不明になります。
生きていたアナはワシリエフとレナーを呼び出し、それぞれアナが盗み出したKGBとCIAの機密と引き換えに、半年間の自由を得ることができます。ずっと自由のなかったアナにとっては半年間は永遠にも等しい価値のあるものです。
アナはオルガと協力し、死を偽装して姿をくらませます。念の為オルガがワシリエフ暗殺を容認した会話も録音することで、願いどおりKGBやCIAにも追われない、自由で安心できる生活を手に入れたのでした。
概要
映画『ANNA/アナ』は、パリで表向きはトップモデルとして生活しながらスパイ活動を行うKGBで訓練された美女スパイが、任務の失敗からCIAに捕まり二重スパイとなるという話です。リュック・ベッソン監督の米仏合作のスパイ映画で、美女が主人公となると、もちろん彷彿させるのは『ニキータ』『レオン』、最近だと『LUCY/ルーシー』というところですね。得意分野の映画化ということになるでしょう、嫌でも期待が膨らみますね!
主演はロシアのモデル出身のサッシャ・ルス。映画出演は同じくリュック・ベッソンの『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』がデビューということですが、どこに出てたかな?ぐらいのイメージですね。多分ヴァレリアンが潜入したバザールのアジトにいた、コンパニオンの1人だったんでしょうね?ミラ・ジョヴォヴィッチ、スカーレット・ヨハンソンを思い起こさせる長身美女で(ただし顔はいわゆる美人顔ではないんですがスクリーンでは映えるんですね!※後述)、こういうのがリュック・ベッソンの好みなんだろうな笑、と思ってしまいますね。
さて本作『ANNA/アナ』、日本では5月公開予定が、コロナ問題で6月に公開延期されました。緊急事態宣言が解除されたとは言え、まだまだ映画館はハードルが高く感じるのでしょう、初日はガラガラでしたね。ド迫力の戦闘シーンがあるので是非大きいスクリーンのある映画館で観て欲しいと思います。
映画『ANNA/アナ』のあらすじ・ネタバレ(詳細)
映画『ANNA/アナ』のあらすじを、実際に公開初日に映画館で観た記憶にもとづき詳しくご紹介します。完全ネタバレでストーリーを紹介していますので、鑑賞前の方はご注意ください。
アナ、パリでトップモデルとなる
冷戦下のモスクワ。CIAの女性工作員が「すぐ大使館に行け」と電話を受けます。モスクワの街では一般市民として生活していた工作員達が、KGBによって突然連行されていきます。女性工作員は大使館前に辿り着きますが、開門を待っている間にトラックに横から突っ込まれます。CIAに発泡スチロールの小包が9個届きます。レナード・ミラーは小包を開けると驚いて後退りします。そこには女性工作員の首が梱包されていたのです。CIAはKGBワシリエフのせいで、1日にして9人の工作員を失いました(伏線です)。
パリでモデル事務所に務める従業員が、モスクワでモデルをスカウトしようとしています。モスクワの遊び人から市場で働く娘にモデル候補がいると情報を得て、タクシーで市場に向かいます。市場では客や業者が溢れていてまっすぐ歩けませんが、女の子の顔を1人1人探しながら歩きます。マトリョーシカを売る女性を見てピンときます(伏線です)。「こんにちは」娘(アナ)にロシア語で話しかけられ「英語はできる?」と聞くと、露英仏日何でもOKとのことです。アナが髪をおろした姿を見て、これはモデルとして間違いなく活躍すると確信します。
アナはパリに移動します。モデル事務所の社長以下、アナのブレイクを疑わないほどの逸材と期待しています。マネージャーやモデル仲間と知り合い、早速初めての撮影です。深夜までかかりクタクタになり帰ると、自分の部屋では同僚モデルがセックスしています。やむなく仲間のモードの部屋に泊まりますが、モードはレズビアンで2人は恋人同士となります。
事務所のパーティが開かれ、アナは経営者のロシア人と知り合います。2ヶ月間セックスはさせずにいましたが、パリの高級ホテルに連れ込まれ口説かれます。アナはロシア人の仕事の内容を聞き、男がシリアなどの被制裁国に武器を卸している事を知ります。アナはトイレに行くと言い、洗面所の裏からサイレンサー付きの銃を取り出し、男を銃殺します。アナは男の持つ携帯やPCを奪い、さらにボディーガードも殺して立ち去ります。
その後CIAのレナードの尋問を受けますが、KGBの証拠隠滅がうまかったため特に問題なく終わりました。しかしレナードはアナがスパイだろうと疑っているようです。
アナがスパイになった理由
アナはモスクワでペーチャと暮らしています。孤児になり街で困窮していたところを拾われますが、暴力や性虐待に苦しめられています。なんとかこの生活から抜け出そうとネットから海軍に応募しますが、ペーチャからは「ドラッグが検出されるから軍隊は無理だ」と言われます。アナはペーチャからドラッグを覚えさせられていたのです。
ある時いい儲け話があるとペーチャに連れられ、ATM強盗につきあわされます。警察に通報されて仲間は射殺されます。2人は猛スピードで逃走しますが、結局横転して車を失います。なんとか2人は家に帰りますが、アナは絶望して呆然と椅子に座ります。するとドアの裏にKGBのアレクセイが隠れていました。あっさりとペーチャは射殺されます。
アレクセイはアナの海軍への応募を見て、KGBのスパイにスカウトしようとしていたのです。アナは実は裕福な軍人の家に生まれ、頭脳明晰で成績優秀な士官学校の学生でした。しかし両親の事故死により底辺まで落ちていたのです。アレクセイは言います。「このクソみたいな生活を続けるか、俺についてきて新しい人生を歩むか、どちらか選べ」
アナはどちらも選ばないと答え、ナイフで手首を切ります。「あんたについていったとしても結局一生飼い殺しされる。なら今死ぬのも一緒よ」アレクセイは5年KGB訓練を受けて仕事をこなせば自由にしてやると説得します。アナは将来自由になれるならと、手首からの出血を押さえてKGBのスパイになることを決意します。
スパイとしてのアナ
アナは基礎的な訓練をしたあとに、正式にKGBのスパイになるためアレクセイの上司オルガに引き合わされます。アレクセイはアナを採用させるため、家柄がよくチェスがうまく頭脳明晰、格闘など運動能力に優れ、訓練の成績も優秀だと報告します。しかしオルガは筋金入りのスパイで、アナを値踏みしますが「美人すぎる」といったん断ります。
オルガはドストエフスキーの小説から一節を引っ張り出して、美人すぎるスパイは必ず問題を起こすと言います。アナは間髪をいれず「それはチェーホフね」と訂正し、かもめの文章を暗唱します。アレクセイとオルガはアナの知性と記憶力に驚きます。オルガは「悪くない」と言い、アナをテストすることにします。
アレクセイが車を運転し、アナとオルガをレストランの前に連れていきます。オルガは写真と銃をアナに渡し、レストランにいるこの男を殺して携帯電話を奪うように指示します。「5分でやりなさい」アナはレストランに入り、友達と待ち合わせるといって奥の席の男に近づきます。すぐに射殺しようと銃を取り出しますが、弾が出ません。オルガに弾を抜かれていたのです。
アナはボディーガードに捕まりますが、弾のない銃を分解すると男に突き刺して殺し、男の銃を奪って他のボディーガードを射殺します。レストランの他の客は大騒ぎして大混乱に陥りますが、ボディーガードが次々とアナに襲いかかります。アナは、最初の男を弾除けにして銃を奪って次々と殺していきます。
何度も倒され投げられますが、その都度身近にあるもの、皿、フォーク、ナイフ、バーカウンターのパイプまで武器として使い、数十人のボディーガードを全滅させます。最後に標的の男から携帯電話を奪い、外に出ていきます。しかしオルガとアレクセイは、期限の5分を過ぎていたため、すでにいませんでした。
5時間後、KGBのオルガの部屋にアナが入っていき、男から奪った携帯電話を机に投げます。「ずいぶん時間がかかったわね」アナは弾丸が入っていないことを抗議しますが、オルガは自分の経験をもとに話します。「私が新人だった頃、森で狼の罠に足をやられた事がある。1人何時間もかかって帰ってきた教官は、私をねぎらいもせず手当もせず、ただ罠を外すためのドライバー1本投げてよこしたの。自力で困難を解決すること、それが力になる」
アレクセイがアナの部屋にきて、2人は激しくセックスします。2人はいつしか愛し合うようになっていたのです。アナはアレクセイに頼みます。「いつか私が自由になることがあったらそのときは協力して」アレクセイは答えます。「わかった。ベストを尽くそう」(伏線です)
アナはKGB長官のワシリエフに紹介されます。オルガやアナの目の前で「国家のために貢献しろ」と言われ、アナはアレクセイと約束したように「5年後に自由にしてください」とお願いしますが、ワシリエフに拳銃を頭につきつけられ「お前は一生KGBで働くんだ」と宣告されます。恐怖と絶望に身体を震わせるアナでしたが、何とかその場は繕い席を外します。
CIAの依頼とワシリエフの暗殺
アナは指示されるまま多くの暗殺をこなしていき、一流のスパイとなります。ある時、ホテルの一室で武器商人とボディーガードを殺害する指示を受け、完了して待機するオルガの元に獲物の鞄を届けます。するとオルガから「指がない」と言われます。指示は指紋を取ってくることではなく、指紋ごと指を奪うことだったのです。アナはもう一度ホテルに戻り、男の指を奪って帰ってきます。オルガは指をなめるように確認します。KGBには独特のナイフの使い方があるのです(伏線です)。
無事に仕事を遂行したように見えたアナでしたが、実はCIAの罠で銃から弾が抜き去られていて、取り押さえられていました。手錠をされ身体を押さえつけられるアナ。レナードが提案します。「君には2つの選択肢がある。このまま死ぬか、KGBを裏切ってCIAのために働くか」アナは「なら殺して。どうせ自由にならないなら同じことだわ」と言いますが、レナードにある重要な仕事を完了させるなら、君に自由を与えると言われ、KGBを裏切ることにします。
アナとモードはバカンスに行きます。プールサイドで日焼けを楽しんでいましたが、レナードが近くにいることに気づきます。先にモードを部屋に帰して、1人になったアナはレナードの部屋に忍び込みます。レナードは入念に考え抜いた作戦があると言い、ワシリエフの暗殺をアナに指示します。レナードは9人の部下を失った復讐をしたいのです(伏線回収)。アナは、成功したらハワイでの自由と保護を条件に、ワシリエフの暗殺という危険な仕事を受けることにして、2人はセックスします。
アナはKGBに戻ります。KGB館内の空きスペースで、アナとアレクセイはセックスします。アレクセイは「こんなところでセックスなんて正気か?」と言いますが、アナは「早くヤりたかった」と答えます。アレクセイは俺もだと言い、2人はワシリエフの部屋に向かいます。
ワシリエフはアナとチェスをしながら、アナの活躍を褒め称えます。「オルガが君に勲章を与えろと言うんだ。最高の名誉だ」「祖国に貢献できて幸せです」アナが自分の服の下をまさぐるような仕草を見せ、アレクセイは訝しがります。アナは「メイト(詰み)!」と言い拳銃を取り出すと、ワシリエフを銃殺します。
驚くアレクセイに銃を向け、「動かないで」と言います。アレクセイは「逃げられる訳はない」と言いますが、アナはアレクセイに「しばらく動かないでもらうわ」と言い、首筋に注射を打って身体の自由を奪います。さきほどセックスしたスペースに、銃や注射が隠してあったのです。外ではレナードがCIAの車で、アナが出てくるのを待っています。
アナはアレクセイやワシリエフの銃を奪うと部屋を抜け出します。不審に思われないように他のKGB職員とは目を合わせずに歩いていきます。アレクセイが痺れた身体をなんとか動かし、非常ベルを鳴らします。アナは何十人ものKGB職員に襲われますが、手持ちの銃や相手の武器を奪って倒し、出口に向かいます。
しかしKGB前にサイレンが鳴り響き、アナがどうなったか分からず、レナードはやむなく退去します。レナードはモードの家を兵士と強襲しますが、何も知らないモードが泣くだけです。「アナから接触があったら連絡してくれ」とレナードは言い残します。
アナの死、その後
レナードのポケベルにアナから「明日14時に公園で会いましょう」とメッセージが入ります。レナードはアナが生きていたと喜びます。
レナードは公園に向かいます。レナードの安全のため至る所にCIAの護衛が配置されています。指定された場所にはテーブルがあり、アレクセイが座っています。レナードは隣のテーブルに座り、部下にあれは誰だ?と無線で聞きます。「KGBのアレクセイ・チェンコフです」KGBも情報をつかみ、オルガを含め多数人員を配置しています。
レナードは立ち去ろうかと思いますが、そこにアナがやってきます。アナはアレクセイにキスをし、次にレナードにキスをして間に座ります。アレクセイは「正気か?俺たちは君を殺しに来てるんだぞ」と告げますが、アナは「私が自由になるときにはたすけてくれると約束したよね?」と言います。アレクセイは「そうは言っていない。ベストを尽くすと言ったんだ」と言います(伏線回収)。
アナはアレクセイにUSBメモリを渡します。ワシリエフを暗殺した時に奪ったデータです。そしてレナードにはハードディスクを渡します。以前レナードと寝た時に、鞄から密かにデータをコピーしていたのでした。アナは「このデータを返すから、私を自由にして」と2人に言います。
レナードは「君に何かあったら、このデータが公表されるという訳だな?」と言います。アレクセイは「こんな情報、半年もあったら古くて使い物にならなくなる。そうなると君の安全も保証できないぞ」と言います。アナは答えます。「私はずっと自由が無かった。スパイになってからも、KGBを裏切ってからも。半年間の自由、私にとっては永遠も同じよ。私は自分が何者か知りたいの。マトリョーシカのように全部開けていった時、何が残るのか」(伏線回収)
レナードとアレクセイは考えますが、2人はデータを手に取りアナを解放することにします。立ち去るアナ。しかしオルガは「そうはさせない」と呟くと、車を降りてアナを追いかけます。そして「KGBをなめるな」と言い、「オルガ?」と振り返ったアナに銃弾を浴びせかけます。銃声がひびきアレクセイとレナードのもとに待機していたKGBやCIAが集結します。一触即発の中、重装備の兵士が駆けつけレナードを連れていきます。アレクセイもレナードも、監視カメラを通してアナの様子を見ますが、死亡を確認し落胆して撤収します。
KGBでは新長官となったオルガが、長官専用のPCを開きます。アナからメールが入っています。メールを開けると、アナの動画が流れます。「これを見ているということはオルガ、あなたは長官になり私は生きているということね」実はアナがCIAに寝返ったことは、その日アナに手錠の跡があったことからオルガにはバレていました。オルガは逆にそれを利用し、CIAとアナにワシリエフを暗殺させて自分がKGB長官になったのです。
オルガがアナを公園で射殺したのもトリックで、アナは防弾チョッキを着ていたため無事でした。KGBやCIAの監視の隙をつき、予め用意していた別の死体とすり替わっていたのです。
「オルガ、あなたは約束を守ると思うが念の為保険をかけておいた。私がKGBにいたという記録を削除して」アナは保険のためオルガがワシリエフの暗殺を止めずに、アナに命じた時の会話を録音していたのです。オルガはアナの力量を認めたのでしょう、満足そうに「ビッチめ」と呟き、不敵な笑みを浮かべるとアナの記録を削除します。
映画『ANNA/アナ』の感想・クチコミ、評価・評判
映画『ANNA/アナ』を鑑賞した私の感想と、みんなの評判です。
私の感想
私の感想としては、「正直興奮したし面白かったけどもうちょっと丁寧に人間を描いて!」といったところです。
正直言うと観るつもりは無かったんですよね。そもそも公開日の2020年6月5日は『ハリエット』を観るつもりだったんですが、当日に「丸腰の女が40人の屈強な男達を5分で全滅させる」という予告(下の動画)を観て、これは観るしかない!!と合わせて2本観てしまいました笑
私もまんまと宣伝に引っかかった上の戦闘シーンは迫力の一言、ストーリーはスリリングな展開が二転三転で面白い、サッシャ・ルスは魅力的で今後も楽しみと3拍子そろってはいるのですが、いかんせん「どこかで観たなコレ」感が強すぎる!!
あえて狙ってるところもあるとは思うのですが、スパイ組織の上司・教官との関係はまんま『ニキータ』(少し『レオン』)、レストランで銃弾が入っていないところも『ニキータ』で誕生日プレゼントを開けると拳銃が入っていたエピソードを思い出させますし、数々の任務をこなす映像を流して見せるのもリュック・ベッソンっぽいですね。主人公サッシャのアクションシーンは『LUCY/ルーシー』に近い感じです。
題材はもちろんストーリーも一応裏の裏の裏ぐらいまであるんですが、実際のところ展開が普通に予想できて二番煎じ感は否めず、「そうきたか!」的な良い意味での裏切られ感は無かったですね。
また、登場人物(特に主人公のアナ)の葛藤や迷いがあまり伝わってこないんですよね。主人公は元軍人の娘で幼い時不慮の事故により孤児となり、貧困や差別・偏見などにより底辺に落ちてクズな男から暴力や性虐待、ドラッグなどに蝕まれて、他人を信用せず「自由」を渇望するからこそアナの一連の行動は説明がつくと思うのですが、そこがあっさり匂わせ程度に描かれてるので、なんか感情移入できないんですよね。ここはもっとしっかり時間を取って、アナに自由が一生無かった事を描くべきだと思います。
『ニキータ』や『レオン』は愛と仕事や復讐の間で、主人公の心情が揺れ動いたり迷ったりするドラマがあったと思うんです。暗殺兵器に仕立てられながらも人間としての心が残っているから、主人公含め登場人物は人を愛し人を殺すことに疑問を感じ、ただの殺戮アクションで終わらないドラマになったことで、『ニキータ』『レオン』は大きな共感を誘ったんだと思います。『ANNA/アナ』はそれが感じ取れなかったです。これは主人公サッシャ・ルスの演技力のせいではなく、脚本・演出の責任だと思います。
ただ私の感想としてはこんな感じなんですが、『ニキータ』『レオン』から30年ほど経った今だからこそ、一見ドライにも感じるアナを通して、リュック・ベッソンが感じる現在のヒューマンドラマの形とを描いたとも言えなくもないかな・・・なんて思います。
あと最近のドラマ等でよくある時間軸を頻繁に入れ替える構成(過去のシーンや現在のシーンを入れ替える)をとっているのですが、これがちょっと分かりづらいところもありました。もちろん、この構成のためにラストシーンに至る登場人物の行動や心情の変化の意味がわかり、カタルシスにつながっていくのですが、正直、辟易した部分もありました。
みんなの評価・評判・クチコミ
映画『ANNA/アナ』の評価・評判ですが、以下のようになっています(2020年6月5日現在)。
映画.com | Filmarks映画 | Yahoo!映画 | シネマトゥデイ |
3.7 | 3.6 | 3.29 | 3.3 |
意外に評価が高いなという印象ですね。たぶん映画.comやFilmarks映画は少し下がってくると思うので、3.2とか3.3というのが全体としての評価になると思います。
クチコミの中でポジティブな意見としては、やはりアクションシーンの迫力や、主人公サッシャ・ルスの魅力について語られているものが多かったです。
https://twitter.com/hayapapa33/status/1269169808479629312
いやもう最初から最後まで突っ切ってて最高だったよANNA/アナ!
飢えに飢えた極限の状態からの食事ともいえるセックスシーンは、レストランの死闘を上回るアクションで、そこだ抜けって掛け声かけたいwwwwエロいんだけど、観客が熱くなるタイプの。ほんと良かった。友達と観に行くと楽しい映画よ!— Shizuka(静) (@komitikonomiz) June 6, 2020
一方、ネガティブな意見というほどのも酷評はなかったのですが、序盤に主人公がスパイとして活躍するまでの展開が退屈だったとか、時間軸を頻繁に入れ替えるところがわかりづらいといった意見がありました。
『ANNA/アナ』コレ面白かったですよ、拾いモノでした。最初の30分は、ん!なんか違うものに入ったかと超絶美女だらけのファッション万華鏡の世界が展開され頭クラクラ、とにかくヒロインのサッシャ・ルスの魅力が全編爆発しており彼女の七変化は一見の価値アリ。フィードバックが多用される。8.3点
— ジャックと豆の木 (@ayumiotomo) June 5, 2020
『ANNA アナ』観た。
サッシャ・ルスの立ち姿というのは非常に美しく、レストランでの大アクションシーンは素晴らしい。ただ、観ていてかなりノイズだったのが、起こった事柄に対して、時間を遡って経緯を説明する展開があまりにも多かった。5年後、3年前、6ヶ月前のテロップを何度見たか…。 pic.twitter.com/dLE8YycZo0
— 後光倶楽部 (@gokou_club) June 5, 2020
映画『ANNA/アナ』の制作陣
⚡いよいよ明日公開⚡
レストランでのアクションシーンは必見!#ANNAアナ
6.5(金)全国公開https://t.co/0jR4o2kul0 pic.twitter.com/QeDrQPOzbw— 映画『ジェントルメン』公式 (@GentlemenJP) June 3, 2020
映画『ANNA/アナ』の制作陣です。
監督・脚本・製作
映画『ANNA/アナ』の監督・脚本・製作は、ご存知リュック・ベッソン。代表作としては『グラン・ブルー』『ニキータ』『レオン』あたりでしょうね。個人的にはミラ・ジョヴォヴィッチ主演の『フィフス・エレメント』が大好きです。キャリアの中では『アンジェラ』あたりまでは良かったんですが、そこから今ひとつ(個人的な感想ですが)な感じが続き、『アウンサンスーチー』とか『マラヴィータ』とか、方向性どうしちゃったの?というのが最近の印象です。
製作でも『TAXI』『96時間』『トランスポーター』など大ヒットシリーズを手掛けています。
出演俳優・キャスト
- アナ(サッシャ・ルス)
- アレクセイ・チェンコフ(ルーク・エヴァンス)
- レナード・ミラー(キリアン・マーフィ)
- オルガ(ヘレン・ミレン)
- ペーチャ(アレクサンドル・ペトロフ)
映画『ANNA/アナ』の俳優・キャストとしては、このあたりが主要メンバーになります。
『ワイルド・スピード』シリーズのルーク・エヴァンス、『ダークナイト』シリーズのキリアン・マーフィと人気俳優を惜しげもなくキャスティングしていますが、何と言ってもみどころはアカデミー賞女優のヘレン・ミレンですね(こちらも『ワイルド・スピード』シリーズにも出演)。
KGBの冷徹な局長を演じるのですが、男優だったら「くそ渋い」という表現がぴったりの老練な演技を見せています。我々日本人だと今ひとつピンとは来ないのですが、終始ロシア訛りの英語を話しながら、いかにもな古いKGB像とばかりにロシア文学のセリフを入れたり、自分の経験を淡々とかたったり、非情な判断をし続けてきた凄みのある感じを出してきます。
ロシア訛りと言えばルーク・エヴァンスも良かったですね。こういう細かい部分はきちんと描くんですね、この映画は。サッシャ・ルスの英語がロシア訛りなのが隠せないので、そこをフォローするためなのでしょうか?ちなみに、サッシャの英語がだんだん上手になってきたような気がするのですが、こは演出、それとも気のせいかな?
サッシャ・ルスはこの映画で初めて強く意識したのですが、非常に良いですね。顔は全然美人顔でなく、どちらかというと剛力彩芽やパク・ソダムのように目が離れた個性的かつ中性的な顔立ちなのですが、これが緊迫した場面(例えば40人との戦闘シーン)になると、下の画像のような彫りの深い古風な美人顔になるんですよね。
メイクのおかげかもしれませんが、これは意識してできない才能だと思うので、今後がとても楽しみです。