公開初日の6月5日(金)に実際に映画館で鑑賞した映画『ハリエット』のあらすじ内容をネタバレで紹介、結末・ラスト・伏線や実話との違いを詳しく解説しています。
2020年6月5日(金)、公開初日の朝イチに映画『ハリエット』を映画館で鑑賞してきました!詳しい内容・ストーリーと感想や評判、実話との違い、監督や俳優・キャストを紹介します。
目次
映画『ハリエット』の基礎知識
映画『ハリエット』を100倍楽しむための基礎知識をご紹介します!
簡単なあらすじ
※完全ネタバレのあらすじのため、鑑賞前の方はご注意ください。
南部の農場で奴隷にされているミンティは、別の農場に売られ夫や家族と引き離されそうになり1人で逃亡します。奴隷制度のないフィラデルフィアまで辿り着き、自由黒人の身分を手に入れハリエットと名乗ります。
1年後、夫や家族を助けに農場に密かに戻りますが夫はすでに別の女性と再婚していました。ハリエットはショックを受けますが家族やその友人を連れて、途中神の啓示を受けながらなんとか逃亡に成功します。
ハリエットは奴隷の逃亡を手助けする「車掌」として、奴隷解放の秘密組織で活躍し多くの奴隷を解放します。最後には、もともとの農場で因縁のあったギデオンを倒し、さらに南北戦争が始まると黒人部隊を率いて、さらなる黒人解放を実現するのでした。
概要
映画『ハリエット』は、自ら奴隷であり、後に脱走し奴隷解放運動の指導者として活躍した、黒人女性のハリエット・タブマンの生涯をもとに製作された、実話をもとにした作品です。
話の内容から想像すると困難を極めた運動の末に勝利を勝ち取る・・・といった話に思えますが、映画コピーは「彼女は一度も失敗せずに奴隷から英雄になった」。米倉涼子さん主演の『ドクターX ~外科医・大門未知子~』の名台詞「私、失敗しないので」を彷彿させますね笑 なぜこんなコピーにしたのでしょうか?・・・と思いますが、映画を観ているとその理由が分かります。
ハリエット・タブマンという人物、私は知りませんでしたし多くの日本人にも知名度の低い方だと思います。しかし、アフリカ系アメリカ人として初めてアメリカドル紙幣(20ドル、紙幣自体は未公開)のデザインに採用された人物で、アンケートにより1位を獲得したということですから、非常に人気の高い実在の人物のようです。
基本的には実話に基づき脚本が作られており、実話との違いについてはそう違和感はありません。というよりも、実話がかなり神がかった成功を収めており、ハリエットは「地下鉄道」と呼ばれた黒人を逃亡させる組織のリーダーとして、ほとんど失敗なく任務を遂行したようです。そのため、「黒人のモーゼ」というニックネームがついているほどです。
主演はシンシア・エリヴォ。ミュージカル出身ですので映画やドラマではあまり馴染みがないですが、ブロードウェイ「カラーパープル」で主演をつとめトニー賞を受賞するなど活躍しています。本作でもアカデミー賞主演女優賞にノミネート、ミュージカル出身俳優だけあって自ら歌う「スタンド・アップ」でも歌曲賞にノミネートされました(いずれも受賞は逃しています)。
本作は日本では3月公開予定がコロナ禍のため6月に公開延期されました。かなり話題性も少なくなり、初日は会場がガラガラでした。国内の興行収入はかなり減ることになると思いますが、これはやむを得ないところですね。
映画『ハリエット』のあらすじ・ネタバレ(詳細)
映画『ハリエット』のあらすじを、実際に公開初日に映画館で観た記憶にもとづき詳しくご紹介します。完全ネタバレでストーリーを紹介していますので、鑑賞前の方はご注意ください。
ミンティとギデオンの関係
1849年のアメリカ、メリーランド州。まだ奴隷制度が残る中、ブローダス農場では多くの黒人奴隷が働かされていました。奴隷であるミンティと母リットは、自由黒人である父ベンと夫のジョンと、奴隷主のエドワードに「子供ができたら自由の身にして欲しい」と頼みます。ブローダス家の先祖が奴隷を解放する約束をしていたのに守らないため、ミンティ達は弁護士に依頼し遺言書を確認していたのです。
しかし農場主のエドワードは頼みをきかず、「死ぬまでこの農場で働け」と冷たく言い放ちます。リットは「この悪魔!」と罵ります。落胆したミンティは神に祈ります。「主よ、なぜ助けてくれないのですか?農場主に裁きを!」そこに農場の長男ギデオンがやってきます。ギデオンは子供の頃に腸チフスにかかり看病してくれたミンティに好意を持ちながらも、一方では奴隷として蔑んでおり複雑な感情を抱いています。
「黒人が祈っても神には届かない」「そんな事はないわ」ミンティは睡眠障害があり、トランス状態に陥ると神の宣告を幻視することがあるのです。「お前はずっとここにいるんだ」と頬を触ってくるギデオンの手を跳ね除けますが、逆に平手打ちされます。「帰るぞ」と言われ、ミンティは落胆して後をついていきます。
逃亡するミンティ
突然エドワードが亡くなります。葬儀が開かれ、ギデオンは、エドワードが死ぬように祈っていたミンティを睨みつけます。好きという気持ちと思い通りにならない苛つきから、ギデオンはミンティを売りに出すことにします。ブローダス農場からさらに南部に売られると、夫のジョンにも会えなくなります。ミンティは命をかけて逃亡することを決意します。
ミンティは一緒に逃げるというジョンに「門のところで待って」と言い、農場で働く母の元に行き旅立ちの唄を歌います。夜になりミンティは農場を逃げ出しますがジョンの元には行きません。自分のせいで自由黒人の身が奴隷になってしまうことを心配したのです。自由黒人で木彫りをしている父ベンの家に行くと、教会のグリーン牧師を頼れとアドバイスされます。食料と木彫りの人形を渡され「俺はいつも一緒だ」と言われます。
グリーン牧師の所に行きベンから頼れと言われたと告げると、「睡眠障害のある娘か?」と聞かれます。事前に話が通っていたようです。グリーン牧師からは逃亡ルートと、協力者の鍛冶屋を教えられます。ミンティはひた走り逃亡します。ブローダス農場ではミンティがいないことに気づき、ギデオンが追いかけようと出かけますが、門にいたジョンに気づきます。誤魔化すジョンを銃で殴りつけ片目を失明させます。ベンの家も訪ねて問い詰めますが、「何も知らない」ととぼけられます。
ギデオン達数人は追手となり、馬でミンティを追いかけます。犬も使って匂いを追跡され追い詰められ、ついに橋の上で挟み撃ちにされます。ギデオンは今戻れば処罰はしない、家族の元に帰れと説得しますが、ミンティは橋の欄干の上にあがり「自由か、死ぬか、どちらかよ」と言い残して、濁流に飛び込みます。ギデオン達は川沿いを捜索しますが、濁流の中で溺死したと判断して追跡を終了します。かろうじて生き残ったミンティは、父にもらった人形を握りしめると、また歩きだします。
ミンティは浮浪者のようにボロボロになりながら、グリーン牧師に教えてもらった鍛冶屋のもとに辿り着き意識を失います。鍛冶屋は白人でしたが奴隷解放の協力者で、ミンティに食料と服を与え奴隷制度のないペンシルベニア州境まで連れて行ってくれます。逃亡をやりきったミンティは喜びを抑えきれません。
ハリエットと名乗る
ペンシルベニアのフィラデルフィアは、南部と異なり自由な白人がたくさん町を歩いています。鍛冶屋に教えてもらった奴隷解放教会のウィリアム・スティルを訪ねます。ウィリアムに尋ねられ、名前や生まれ、奴隷主にされたひどい仕打ちを教えます。ウィリアムは、ミンティが過去に頭を強打されたため、脳に影響があるのではと疑います。ミンティは自由になった記念として、母の名ハリエットを名乗ることにします。
ウィリアムに黒人専用の下宿宿を運営するマリーを紹介されます。貴婦人のようなマリーに、ハリエットは思わず「奥様」と呼びかけてしまいます。宿にはハリエットと同じような境遇の黒人女性が沢山います。マリーは自由の身に生まれ、一度も奴隷になったことのない自由黒人でした。「すごい匂いね、身体を洗いましょう」と言うマリーに、ハリエットは「奴隷の匂いを知らないのね?」と嫌味を言います。マリーもハリエットの身体に残された傷跡を見て奴隷の辛苦を想像します。
マリーに紹介されたメイドの仕事をしながら、フィラデルフィアで1年過ごします。ハリエットは夫や家族を解放するため、南部に戻ることにしますが、危険だとウィリアムに反対されます。しかしハリエットは「私には神の啓示がある、私にできないと決めつけないで」と反対を押し切り、別人の自由黒人の身分証を手に入れ、南部へ向かいます。
車掌の誕生
ハリエットは正体を誤魔化しながら南部へ忍び込み、ブローダス農場へと辿り着きます。ジョンに会い、「片目でも君が見える」と喜ばれますが、一緒に逃げようと言っても断られます。ジョンはハリエットが溺死したと伝えられ、別の女性と再婚して子供もできそうな状態だったのです。ハリエットは裏切られたと感じショックを受けますが、ジョンはそれでも君を愛していると言います。
ジョンに代わって弟たちやその家族・友人9人を逃亡させることになります。赤ん坊までいる上に大人数のため危険を伴う逃亡になりますが、以前のように父やグリーン牧師の協力も得て道案内を務めます。ギデオンたちや、黒人でありながらスパイをするウォルターや奴隷狩りビガー・ロングの待ち伏せにあいます。ハリエットは神の啓示を受けこのまま橋に進むと危険だと感じ、川を泳いで渡ることにします。みな「泳げない」「自殺行為だ」と反対しますが、ハリエットが1人川に入ると、奇跡的に浅い部分だけを渡ることができます。みな驚き、ハリエットをリーダーとして従うことに同意します。
ハリエットがフィラデルフィアまで無事に逃亡を成功させると、ウィリアムは驚きその力量を認めます。奴隷解放組織「地下鉄道」の車掌として、正式にハリエットを奴隷解放運動に迎え入れることになります。
ハリエットの活躍
ハリエットは「地下鉄道」の強力な車掌として、多くの黒人奴隷の逃亡に成功します。ハリエットによってあまりにも多くの黒人奴隷が逃亡したため、「黒人のモーゼ」と農場主には忌み嫌われ、大金の賞金首がかけられるほどになりました。
一方で「逃亡奴隷法」の成立により、逃亡した奴隷を助けることが違法となり、フィラデルフィアの奴隷解放組織「地下鉄道」には逆風となります。町は暴動となり、ハリエットを追ってきたギデオンとビガー・ロングにより、マリーは殺されてしまいます。戦うかカナダに逃げるかという選択を迫られますが、ハリエットは「今まさに苦しみ死につつある黒人のためには、戦うしかない」と「地下鉄道」のメンバーを説得します。
ハリエットは父や母、妹や姪など残りの家族を助けるため、ブローダス農場に戻ります。ハリエットがもとブローダス農場の奴隷だったミンティだと知り、他の農場の農場主たちも加わりハリエットを殺そうと団結します。ブローダスのエリザは、奴隷にしているハリエットの姪を囮に使おうと提案します。
ハリエットは一歩早く姪を助け出し、父や母とともに逃亡を始めていました。農場主たちは川で待ち伏せしますが、奴隷ではない白人の使用人に荷馬車をひかせ、自分達はそこに隠れてやり過ごします。それを知ったギデオンと奴隷狩りビガー・ロングは、2人でハリエットを捕らえて賞金を独り占めしようと企みます。
ギデオンとの対決
ハリエットはボートに乗ろうとした時、ギデオンとビガー・ロングが追ってくるイメージを幻視します。ウォルターにみなを安全なところに輸送するように頼み、自分は2人を待ち受けます。ハリエットは馬で追ってきた2人を森や岩場に誘い込み、ビガー・ロングと対決します。ビガー・ロングの帽子を銃で撃ち落とし、怒ったビガーに逆に撃たれそうになりますが、ギデオンがビガーを射殺します。「生け捕りにするんだ」
自分を見失ったギデオンの背後から、ハリエットは忍び寄り「動いたら撃つ。銃を捨てろ」と命じます。ギデオンはライフルを捨てる振りをして拳銃を取ろうとしますが、ハリエットに指を撃ち抜かれます。馬から降りて跪くギデオン。「なぜこんな事になった?俺もお前もお互いが好きだろう?子供の頃必死に祈ってくれたじゃないか?」「あれは白人の所有欲が無くなるように祈ってたのよ」ハリエットは言います。「名もなき多くの奴隷の苦悩と怨嗟の声が聞こえるか?」どこからともなく黒人の声が聞こえてきます。ハリエットは空中に銃を一発撃ち、ギデオンを殺さずに馬を奪って立ち去ります。
時は過ぎて南北戦争では、ハリエットに黒人部隊を率いることが認められます。多数の兵士を船に載せたハリエットはカンバヒー川で待機しています。地鳴りのような足音が響き、数百人の黒人奴隷が思い思いの荷物を持って逃走してきます。ハリエットは「構え!」と命じ、追ってきた農場主と奴隷狩りに銃弾を浴びせかけるのでした。
ハリエットは南北戦争で斥候として活躍し、後に両親が住む家に戻り幸せに暮らし、再婚した後は女性参政権を求めた運動に参画し、最後は多くの家族親族に囲まれて死を迎えるというエンドロールが流れて映画は幕を閉じます。
映画『ハリエット』の感想・クチコミ、評価・評判
映画『ハリエット』を鑑賞した私の感想と、みんなの評判です。
私の感想
私の感想としては、「題材としてはいいけど脚本が平凡で今ひとつ」といったところです。
映画コピーは「彼女は一度も失敗せずに奴隷から英雄になった」とあるように、彼女はほとんど失敗せずに黒人の逃亡を助けてきたので、ストーリー的にはあまり盛り上がらなそうなところを、脚本上は、おそらく架空の人物である「ギデオン・ブローダス」を、ハリエットに執着する(半分好きという気持ちも混ざっている?)奴隷狩りとして追わせることでサスペンス感を増すことに成功しています。
ただいかんせん、描き方が単純というか当たり前というか、ハリエットの成功を「神の啓示」的な偶然と描いてしまったために、どうも展開に納得感が無いんですよね。観ていて「こんなにうまく行くかよ」的な無理やり感があります。もう少し深く取材したり、事実の裏側にある背景や情勢を考えたりすれば、もう一捻り二捻りある物語が描けたのではないかと思うと残念な部分もあります。
ジャネール・モネイ演じるマリー・ブキャナン、黒人ではありますが一度も奴隷になった事のないという立場でありながらハリエットを支えるという良い役どころなのですが、ギデオン達に襲われた際になんでハリエットは助けないの?的な思いがありました。ウォルターもそれまで奴隷狩りとして黒人でありながらいわば黒人の敵という存在だったのが、あっけなく味方になるとか、ツッコミどころ満載です。
一方でみどころというか何より必見ではなく必聴なのが、主演のシンシア・エリヴォが自ら歌い上げる主題歌「スタンド・アップ」です。演技ももちろん良いのですが、素晴らしいの一言。ストーリ-的にも奴隷から逃亡する日に、残る母親に向けて自らの決意を絞り出す運命的な場面です。
※アカデミー賞時のパフォーマンス
「スタンド・アップ」の歌詞(一番)を邦訳してみました。
ずっと歩いてきた
太陽に顔を向け
重い責任を負い
銃には一発の弾丸
何となく注意する
走らなければならない時には
仲間のためにやれる所でやれる時にやれる事をする
雲が動き星で満たされる夜に
私が立ち上がったのはそんな時
仲間を連れて
一緒に行く
私たちの新しい家に
遠く川を超えて
自由を求める声が聞こえる?
答えを求める声
ずっと続くいていく
直感でわかる
これ以外にも、この映画は黒人の迫力ある歌声が色々なシーンで流され、臨場感や登場人物の気持ちを描くことに成功しています。
みんなの評価・評判・クチコミ
映画『ハリエット』の評価・評判ですが、以下のようになっています(2020年6月5日現在)。
映画.com | Filmarks映画 | Yahoo!映画 | シネマトゥデイ |
3.6 | 3.5 | 3.25 | 4.5 |
予想通りですが、一般的に評価が高くなりやすい実話をベースにした「いい話」ですので、高い評価が並んでいますね。残念ながらアカデミー賞はノミネート止まりでしたが、コロナのタイミングに重ならなければもう少しヒットしたかもしれません。
クチコミの中でポジティブな意見としては、やはり主役のシンシア・エリヴォの歌唱力に感動したというもの、また多くの犠牲があった奴隷制度や人種差別へ思いを馳せたものなどが多かったです。
人種差別については根深いものがあるし
歴史に詳しいわけではないので何ともコメントできませんが、とりあえず
映画「ハリエット」の主題歌が胸に刺さります。
後半のパワフルさに圧倒されます。
実在した女性アフリカ系アメリカ人のお話。
紙幣の絵になってるそうで。https://t.co/UuWRZcKt6T— ぱのこ (@bitter821bb) June 4, 2020
『ハリエット』(6月映画館③)
「自由か、死か」繰り返されるこの言葉の重み。私はこの作品を最後まで観るまで少し軽く考えていたかもしれない。奴隷制という怪物が死滅するまで、何度でも祈り何度でも立ち上がり前を進んでいく彼女。最期の言葉が過去も未来も光となって続いていきますように。— Lita (@Lita1224710) June 5, 2020
ネガティブな意見は特に見当たりませんでした。コロナ問題もありまだまだ映画館に足を運ぶ人が少なく、レビューが少ないということもありそうです。
映画『ハリエット』の制作陣
映画『ハリエット』の制作陣です。
監督・脚本
映画『ハリエット』の監督・脚本は、ケイシー・レモンズ。もともと女優で、『スクール・デイズ』『羊たちの沈黙』に出演していたようですが、よく知りません。俳優としては大きく花開いた感じではないようですね。手掛けた作品に『プレイヤー/死の祈り』『ケイブマン』などがありますが(どちらもサミュエル・L・ジャクソン主演)、大きなヒットには結びついていない印象です。
ちなみに本作で牧師役のサミュエル・グリーンを演じたヴォンディ・カーティス=ホールは彼女の旦那さんです。
出演俳優・キャスト
- ハリエット・タブマン(シンシア・エリヴォ)
- ウィリアム・スティル(レスリー・オドム・)
- マリー・ブキャナン(ジャネール・モネイ)
- ギデオン・ブローダス(ジョー・アルウィン)
映画『ハリエット』の俳優・キャストとしては、このあたりが主要メンバーになります。テーマ的にも黒人俳優が多いですね。
みどころとしては、演技も良いですが前述のシンシア・エリヴォの主題歌の歌唱シーンが一番です。逃亡のため旅立ちのシーンで母親に歌う場面や、奴隷を逃亡させようと元気づける場面は、感動的なものがあります。本業は歌手というかミュージカル俳優が正しいですかね?そう考えれば歌唱力が高いのは当然ですが。
また、黒人でありながら奴隷経験のないマリー・ブキャナンを演じたジャネール・モネイ、こちらも本業はシンガーです。しかし映画『ムーンライト』やドラマ『ホームカミング(シーズン2)』では良い演技を見せていましたね。少し背が低いのが気になるのですが、独特のオーラを持った俳優だと思います。
それと、ギデオンの母エリザを演じたジェニファー・ネトルズは、カントリーバンド・シュガーランドのボーカルですね。アメリカのエンタメ業界では、こういったミュージシャンやスタンダップコメディアンが、俳優として映画やドラマに出演するパターンがとても多い気がします。
また、ハリエットの宿敵の奴隷狩り「ギデオン・ブローダス」を演じるジョー・アルウィン、どっかで観たことあると思っていたらテイラー・スウィフトの恋人ですね。俳優としては「女王陛下のお気に入り」でエマ・ストーン演じるアビゲイルの夫役、尻に敷かれる情けない性格の役でしたが、本作ではストーカーチックな好きと憎悪が入り混じった役を上手く演じていると思います。
余談ですが、「女王陛下のお気に入り」は良作ですので未見の方はぜひ。アン女王を演じたオリヴィア・コールマンがアカデミー主演女優賞を取った演技はもちろんですが、個人的には、レディ・サラ演じたレイチェル・ワイズが最高の演技でした。