工藤元(kudogen)公式 映画・ドラマ評論家

工藤元(kudogen)。1990年生まれの31歳。大阪府在住。 映画・ドラマが大好きで、年間200タイトル以上を視聴しています。工藤元(kudogen)公式では、私が実際に視聴した映画・ドラマを、あらすじ・ネタバレでご紹介。感想・解説・評価もあわせてご紹介します。

起業・独立

起業するときに「最低限」知っておくべきお金のこと

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※2021年9月7日更新

起業する目的や理由は人それぞれだと思います。サラリーマンから独立する、資格をもとに起業する、副業を大きくする…どんな創業パターンでもひとつ言えるのが、「お金が尽きたらそこで終わり」ということです。

「利益を出す」という事の重要性は分かっていたつもりでも、「資金繰り」の重要性が分かっていないと、大変苦労します。起業は「お金がすべて」と言っても言い過ぎではないと思います。

そこでこの記事では、起業するときに知っておくべき「最低限の」お金の知識について解説します。

この記事の概要

この記事は下記の内容を解説しています。詳しい内容については各項目をお読みください。

  • 起業家にとっては「ロマン(起業する目的」「ソロバン(数値で管理)」「ジカン(スケジュールを設定)」の3つが重要です。
  • 起業するときに必要になるお金には、「初期投資」と「3~6ヶ月の生活費」があります。これらの必要資金は自己資金を原則として、不足分は融資・出資・補助金や助成金でまかないます。
  • 実際に事業を始める前に、売上と費用を予測・計算して売上利益計画を作成することで、事業の成功可能性を高めることができます。特に、損益分岐点がどこにあるのかを知っておくことが重要です。
  • 入ってくるお金と出ていくお金を計算して、事業を続けてお金が残るかどうか=「資金繰り」を計算することが重要です。特に、売上は必ずしも収入とイコールにならないことに注意が必要です。

起業家にとって重要な3つの「ン」

起業前に「最低限」知っておくべきお金のことの前に、私が考える起業家にとって重要な3つの「ン」をご紹介します。それは、「ロマ“ン”」「ソロバ“ン”」「ジカ“ン”」の3つです。

起業家にとって重要な「ロマン」

「ロマン」とは、起業する目的のことです。目的、つまり「何のために起業するのか」ということですが、これは人によって様々あると思います。

  • 自己実現したい
  • 社会貢献したい
  • 好きな仕事をしたい
  • 孫さんのような起業家に憧れている
  • 人に頭を下げたくない
  • サラリーマンはなく独立して思い通りに仕事をしたい
  • 資格や技術を活かしたい
  • 収入を増やしたい
  • お金を沢山儲けたい
  • 副収入を得たい
  • 夢をかなえたい
  • はっきりとした理由は無い

いずれにしても、嘘偽り無く率直に自分の気持ちや考えを確認し、紙に書いて残しておくことが重要です。

起業しても必ずしも思い通りにいくとは限りません。「こんなはずじゃなかった」「うまくいかなくて苦しい」「起業しなければよかった」などと思うことが度々あるのです。そんな時、「ロマン=何のために起業するのか」を振り返って確認することで、「ロマンに向かってもう一度頑張ろう!」と思えるようになるからです。

起業家にとって重要な「ソロバン」

「ソロバン」とは、目標や実績を数値で計算するということです。「ロマン」が定性的とすると、「ソロバン」は定量的ということもできます。

起業家は「ロマン」に表せるような「自分の思い」に従って行動するものです。しかし、実際のビジネスは「思い」だけでうまくいくとは限りません。特に、この記事で解説する「お金」については定量的に管理しないと、一見うまくいっているように見えても倒産したりお金が足りなくなり会社が回らなくなったりすることがよくあるのです。

例えば、「黒字倒産」という言葉があります。「黒字倒産」とは、資金繰り※がうまくいかなかったため、利益が出ているにも関わらず、仕入や経費などの支払うお金が足りなくなってしまい、会社が存続できなくなってしまうことを言います。黒字というのは利益が出ているということですから、事業がうまくいっているという意味ですが、利益が出ているということと、手元にお金が残るということは必ずしもイコールではないのですね。

※資金繰りについては後で詳しく解説します。

そのため、売上高や利益などはしっかりと数値で目標をたてるとともに、特に入金や支払いなどの資金繰りの計画や実績は数値で管理することが重要になるのです。

起業家にとって重要な「ジカン」

「ジカン」とは、夢や目標をきちんとスケジュールにして〆切を設けるということです。

少し古いですが、東証一部上場のGMOインターネットグループの創業者、熊谷正寿さんも「夢に日付を入れる」と同じようなことを言っています。

一冊の手帳で夢は必ずかなう – なりたい自分になるシンプルな方法

夢や計画は思っているだけでは叶わないのはもちろん、「いつまでにやる」という強い意志を持って実行しないと、実現しないものなのです。

また、そもそも起業は「千三つ(せんみつ、千に三つぐらいしか話がまとまらないという意味)」と言われるぐらい、成功率が高くありません。そのため、なんとなく起業してもうまくいかないことが多く、起業を成功させるにはしっかりと〆切を設けスケジュール管理することが重要なのです。

起業の成功率については、2017年度版中小企業白書によると「5年後企業生存率(一般的には5年間存続できれば、企業はその後も存続できる可能性が高いと言われています)」は81.7%と高いです。しかし注釈に、「日本の企業生存率はデータベースに企業情報が収録されている企業のみで集計している。また、データベース収録までに一定の時間を要するため、実際の生存率よりも高めに算出されている可能性がある。」とあるように、実際にはデータに入らない起業失敗事例が数多くあると推測されます。個人的な実感としては起業の成功率は5%前後ではないかと思います。

 

起業するときに必要なお金

いざ「起業したい!」と思った時に、まず初めに考えてほしいのが「起業する時に必要なお金」です。何をするにしても先立つものはお金ですが、起業するときにはどんなお金が必要になるのでしょうか?

起業するときに必要になるお金は2種類あります。ひとつは初期投資、もうひとつは3~6ヶ月の生活費です。起業が失敗する最大の理由は「お金が足りなくなること」なので、起業の成功率を高めるために起業前にしっかり考えておきましょう。

起業するときに必要なお金「初期投資」

「初期投資」とは、起業・開業時に最初にかかるお金のことです。例えばものづくりなど何かを製造するのであれば、工場を借りたり機械や備品を買ったりするお金がかかります。店舗で何かを販売するのであれば、店舗の敷金・礼金や改装費などのお金がかかります。

起業するにはそれなりのお金がかかってきますので、まず初めにどんなお金が必要になるか、リストに洗い出して金額を把握しておきましょう。

なお、中小企業基盤整備機構が運営する、中小企業・小規模事業者・創業予定者の方のためのポータルサイト「J-Net21」には、業種別開業ガイドという、300以上の業種・職種から選べる開業準備手引き書が掲載されています。

それぞれの業種の概要や、開業に必要な手続きや流れ、開業資金や損益モデルなどが解説されていますので、自分が起業したい分野でかかるお金の計算の参考にするといいでしょう。参考までに、この業種別開業ガイドによると、居酒屋の開業資金は1,180万円、エステティックサロンの開業資金は861万円、アパレルショップの開業資金は1,400万円かかることになっています。

この開業資金ですが、必要なものであってもなるべく買わずに借りたり、もらったり、すでにあるものを利用したりと、できるだけコストを抑える努力をしてみましょう。

例えば、オフィス用品を買わずにレンタルするサービス(レンタルバスターズなど)を利用したり、友人知人にもらったり(Amazonウィッシュリストジモティーの中古あげます・譲ります)、新たに買わずにすでにあるものを利用したり(いわゆる「居抜き物件」の活用など)するなどの方法があります。

また、できるだけ初期投資がかからないビジネスを選ぶことも、起業の成功例を高めるために必要なことです。例えば、インターネットビジネスやコンサルティングなど自分の労力とPCさえあればできるようなビジネスは、比較的初期投資がかからないビジネスです。

起業する時に必要なお金「3~6ヶ月の生活費」

起業する時になぜ「3~6ヶ月の生活費」が必要になるかというと、起業しても計画どおりに売上があがり利益を得ることができるとは限らないため、必要な生活費を工面できない場合に備えるためです。

実はこれが、起業しても失敗してサラリーマンに戻ってしまうよくあるパターンなのです。生活費がなければ生きていけないため事業の継続を諦めなくてはなりません。起業における本当の失敗とは、「成功する前に止めてしまうこと」でもあるのです。

そうした事態を避けるため、万が一売上が1円もあがらず収入が全く無かったとしても、生活できるだけのお金は手元に用意しておこうということなのです。何ヶ月分必要かはケースバイケースですが、一般的には開業して3ヶ月や6ヶ月たつとビジネスが軌道に乗るケースが多い(あるいは目が出ずに撤退する)ため、「3~6ヶ月」が望ましいと思います。

まずは、一ヶ月生きていくのに最低限いくらお金があればいいのかを、リストアップして計算してみましょう。家賃(持ち家ならローン)・食費・水道光熱費・通信費・多少の娯楽費など、家族がいればもちろん世帯分が必要なお金になります。

起業して成功するまでには一定の期間がかかるので、その期間を耐えられるように、途中で止めなくていいように事前にしっかりと準備しておくことが重要なのです。

起業に必要なお金をどう準備するか

こうした起業に必要なお金=「初期投資や3~6ヶ月分の生活費」が計算できたとして、そのお金をどう準備したらいいのでしょうか。

必要資金は、基本的には自己資金で賄うのが原則です。そのため、将来独立したい、起業したいと思った段階から、少しずつお金を貯めておくこと良いでしょう。目標額と期間を決めて、積立定期預金積立定期貯金を活用するのも良い方法ですね。

自己資金では必要資金に足りない場合、必要な資金をどう調達するか=資金調達が課題となります。資金調達は大きく分けると、融資(お金を借りること)・出資(会社に出資を受けること)・助成金や補助金の3種類あります。それぞれメリット・デメリットを理解して、選ぶ(または組み合わせる)必要があります。

資金調達の方法① 融資(お金を借りること)

資金調達の方法としてもっとも一般的なのが、融資(お金を借りること)です。家族・親戚や友人・知人からお金を借りたり、銀行から借り入れを受けたりして必要な資金を調達します。融資の基本的な特徴としては、約束に応じて返済の必要があることと、利息がかかることです。

また、融資も種類によって下表のようにそれぞれメリット・デメリットがあるので、それを考えて利用する必要があります。

融資元 返済の必要性 金額の大きさ 融資の見返り 備考
家族・親戚 ある(ない場合もある) 小~大 利息(小) 借りやすい
友人・知人 ある 小~中 利息(小) 人間関係に注意
金融機関 ある 中~大 利息(中) 担保や保証人が必要な場合が多い
クラウドファンディング(融資型) ある 小~大 利息(中~大) ※クラウドファンディングとは、インターネットを介して不特定多数の個人から資金を集めるサービス

なお、金融機関から融資を受ける場合には、都市銀行・地方銀行・信用金庫・その他貸金業など様々な金融機関が考えられますが、起業や独立の場合には一般的に信用力や担保資産がない場合が多く、通常の融資はハードルが高いため、以下の3パターンで融資を受けるケースが多いです。

  1. 新創業融資制度(日本政策金融公庫)
  2. 制度融資(信用保証協会)
  3. 女性若者シニア創業サポート制度(東京都のみ)
■新創業融資制度(日本政策金融公庫)

新創業融資制度は、政府系金融機関の日本政策金融公庫が取り扱う起業・創業向けの融資です。最大の特徴は、担保・保証人が原則不要で、最大3,000万円融資が可能であることです。

融資の要件はおおきく3つあり、①創業前または創業後2期を経ていない②一定の条件(雇用を創出する、サラリーマン時代と同じ業種の事業を始めるなど)③自己資金要件です。

③自己資金要件は、「創業に必要な資金の10分の1以上の自己資金を持っていること」なのですが、この自己資金の算定は、以下の数式で計算できます。

自己資金=預貯金残高+有価証券・保証金など・払込済み資本金・既に使った設備資金など・客観的な評価が可能な資産-別の借り入れ(住宅ローン・自動車・カードローンなど)

ローンについては、カードローンなど消費者金融から借入があったり、過去に電気や水道などの公共料金やクレジットカードの引き落とし遅延があったりすると、融資ができないケースがあります。最近では携帯電話料金も「割賦」とみなされ、軽い気持ちやうっかり遅延したとしても金融事故にみなされるケースがあるので注意が必要です。

 

新創業融資制度の利用は、日本政策金融公庫公庫で面談→創業融資申込書の提出→(1週間以上)→実地調査→(1週間以上)→融資実行という流れで進みます。

■制度融資(信用保証協会)

制度融資とは、地域の産業振興や雇用の創出をねらって、地方自治体が信用保証協会と金融機関と連携して行う「融資のあっせん制度」です。特徴としては、担保や保証人を用意しにくい起業・創業まもない事業者のために、信用保証協会が保証してくれる(代わりに、保証料を支払う)点にあります。信用保証協会の保証により、銀行や信用金庫からお金を借りることが可能になるのです。

制度融資の利用は、商工相談員の面談→地方自治体に申込→(数日間)→信用保証協会による審査→(2週間前後)→認定書の交付→銀行や信用金庫に融資の申込・審査→(2週間以上)→融資実行という流れで進みます。

制度融資は各地方自治体がその仕組みを用意しています。東京都の場合は下記リンクから詳細を確認できます。

東京都中小企業制度融資

■女性若者シニア創業サポート制度

女性若者シニア創業サポート制度は、女性および39歳以下または55歳以上の男性で、東京都内で創業予定または創業後5年未満の事業者を対象とした融資制度です。

特徴としては、地域創業アドバイザーによる事業計画書作成のセミナーや面談を受けて事業計画書を完成させることで、金融機関から無担保で融資を受けられるという点です。

女性若者シニア創業サポート制度の利用は、金融機関またはアドバイザーに問い合わせ→アドバイザーの面談(3~5回)→金融機関に相談→アドバイザーから事業計画アドバイス(3回以内)→事業計画完成→金融機関に融資申込・審査→(2週間以上)→融資実行という流れで進みます。

資金調達の方法② 出資(会社に出資を受けること)

資金調達の方法として、株式会社などの企業体を設立し、その会社に出資を受けるという方法もあります。出資の基本的な特徴としては、原則として返済の必要がなく、利息がかからないことです。

それなら融資より出資の方が良い?と思われるかもしれませんが、もう一つ大きな特徴として、出資の場合は経営権を一部譲渡するということでもあります。場合によっては、自分の会社でなくなってしまう可能性もあるのです。

また、出資の種類によって下表のようにそれぞれメリット・デメリットがあります。

出資元 返済の必要性 金額の大き 出資の見返り 備考
家族・親戚 ない 小~中 配当(ない場合も) 頼みやすい
友人・知人 ない 小~中 配当(ない場合も) 配当(ない場合も)
一般企業 ない 小~大 配当またはキャピタルゲイン(注)
エンジェル ない 小~大 配当またはキャピタルゲイン 個人投資家のこと
ベンチャーキャピタル(VC) ない 小~大 キャピタルゲイン ※VCとは、高い成長性が見込まれる未上場企業に対し、投資家などから調達した資金を成長のための資金として提供する企業
クラウドファンディング(投資型) ない 小~大 商品やサービス

(注)キャピタルゲインとは、株式などに投資した後に「株式上場」や「M&A」などによって、投資額よりも大きな価格で売却することで得ることができる利益のこと。

資金調達の方法③ 補助金・助成金

資金調達の方法の最後が、補助金・助成金です。補助金・助成金は、国や自治体(都道府県・市町村)が申請した事業に対して、審査を経て補助・助成するにふさわしいと判断された場合に支給されるものです。そのため、申請や受給には一定の要件や応募期間があり、だれでもいつでも使えるものではありません。

補助金・助成金の特徴は、原則として返済不要で、後払い(個人や企業が先に立て替えて支払い、後で支給を受ける)であることです。

起業や創業に関する補助金・助成金として代表的なものに、東京都の創業助成金があります。

創業助成事業

この創業助成事業は、一定の要件はありますが、東京都内での創業を計画している個人や創業後5年未満の中小企業者等が、300万円・3分の2を限度として、家賃など賃借料・広告宣伝費・器具備品費・人件費などの助成を受けることができるというものです。

また、産業競争力強化法にもとづく「特定創業支援等事業を受けた創業者への支援」として認定を受けて創業した場合、会社設立の登録免許税の減額を受けることもできます(最低税額の場合、株式会社設立は15万円→7.5万円・合同会社設立は6万円が3万円)。

売上利益計画を作成する

お金のこと(会計ともいいます)は、企業の経理部門で働いていた方などを除くと、一般的に苦手な人が多い傾向があります。会計の用語や知識に馴染みがないからですが、これらの知識は、起業を成功に導くためには絶対に必要なことだと思います。そのため、私が実際に起業した時に、最低限これだけは知っておく必要があるな、と感じた知識について解説します。

売上・費用・利益の関係

まずは売上・費用・利益の関係についておさえておきましょう。たまに「売上=利益」と勘違いする人がいますが間違いで、「売上-費用=利益」が正しいです。事業の目的は利潤の追求、つまり事業活動を通して儲け(利益)を出すことです。そのため、できるだけ売上を大きく費用を小さくして、利益を大きくすることを目指すことになります。

企業などの事業者は、顧客に商品やサービスを提供してその対価として売上を得ることができます。例えばラーメン屋であれば、1杯1,000円のラーメンをお客さんに販売すると、1,000円の売上を得るというわけです。では利益が1,000円かというとそうではなく、ラーメンをつくるためのコストが費用としてかかっているので、費用をマイナスした分が利益となるのです。

なお、この費用にもいくつか種類があります。例えば商品やサービスそのものの製造や提供に直接かかる費用(ラーメン屋でいうと例えば麺・チャーシュー・スープなど)や、間接的にかかる費用(例えばガス代や電気代、人件費)、企業活動を維持する費用(家賃や諸費用など)などがあります。

いずれにしても、利益を出さないと事業活動は維持することができないため、起業しても利益がでなければいずれは行き詰まってしまいます。そのため、起業する前に「売上利益計画」を作成し、事業活動によりどれぐらいの利益が出せるかを計算することが重要になります。

売上計画の作成

まずは売上計画を作成してみましょう。わかりやすくラーメン屋を想定して、1ヶ月の売上を計算してみます。ラーメン屋の1ヶ月の売上はどのように試算したらいいでしょうか?

売上は細かい要素に分解して計算します。例えば、1日の売上高に営業日数をかけると1っヶ月の売上高は計算できますよね。

1ヶ月の売上高=1日の売上高✕1ヶ月の営業日数

となるわけですね。ただ、これだけではあまりにもざっくりしすぎていて、予測の精度が低いので、1日の売上高をもっと細かい要素に分解してみましょう。例えば、

1日の売上高=客数✕客単価

にも分解できると思います。さらに、客数は席数✕回転率に分解できますし、客単価は注文点数✕品単価に分解できます。すると、

1ヶ月の売上高=席数✕回転率✕注文点数✕品単価✕1ヶ月の営業日数

という式が成り立つことが分かると思います。

このように細かい要素に分解すると、ざっくりと1日の売上高を計算するよりも売上計画の精度があがります。なぜかというと、例えば回転率や注文点数を検証することで、計画に無理がないか実現可能な計画なのかが確認できるからです。

このような式ができれば、あとはそれぞれの数字を実際に予測していきます。

  • 席数でいえば、居抜き物件であればもう決まっていますし、新規に店舗を改装するとすれば、何席ぐらい取れそうかを図面から試算してみます。仮に15席としましょう。
  • 回転率は、だいたいラーメン注文してから食事して席をたつまで平均20分ぐらいかな、オフィス街に開店するから昼は高回転・夜は低回転として、9回転ぐらいはするかもしれないな、というように考えていきます。
  • 注文点数はラーメン専門店でサイドメニューなしなので1点とします。
  • 品単価は基本のラーメンが750円でトッピングなどもいれると、平均で+100円は取れるだろうから、850円と仮説をたてます。

これらの数字を先程の式に当てはめてみます。

1ヶ月の売上高=席数✕回転率✕注文点数✕品単価✕1ヶ月の営業日数

1ヶ月の売上高=15✕9✕1✕850✕25=2,868,750円

となります。

利益計画の作成

次に、利益計画を作成します。「売上=利益」ではなく「売上-費用=利益」が正しい利益の計算方法になります。さきほど売上計画を作成したので、次に費用を計算すれば利益計画が自然に作成できますね。

利益には大きくわけて5つの利益があります。売上総利益(うりあげそうりえき)・営業利益(えいぎょうりえき)・経常利益(けいじょうりえき)・税引前利益(ぜいびきまえりえき)・税引後利益(ぜいびきごりえき)の5つです。

利益の種類 計算方法 備考
売上総利益 売上高-売上原価

売上高から売上原価(商品・サービスを製造や提供するために直接的にかかる費用)を引いた利益。粗利(あらり)ともいう。

営業利益 売上総利益-販管費 売上総利益から販管費(店舗家賃や人件費など営業にかかる費用)を引いた利益。商売から得られる利益を意味する。
経常利益 営業利益-営業外損益 営業利益から営業外損益(営業以外の収入や損失、例えば利息など)を引いた利益。
税引前利益 経常利益-特別損益 経常利益から特別損益(めったにおきない収入や損失)を引いた利益。
税引後利益 税引前利益-法人税等 税引前利益から法人税などを引いた利益。

※会計では利益は5つありますが、起業前には本来の事業や商売で利益が出るかどうかを計算して、事業の可能性を検討するので、売上総利益・営業利益・経常利益の3つの利益計画をたてるといいでしょう。

費用についても、売上と同じように細かく分解して考えていきます。ラーメン屋でいうと大きな費用は、人件費と原材料費になります(飲食業の場合は、それぞれ売上高に対して30%程度が適正値と言われています)。

他にも店舗の家賃や水道光熱費、消耗品や事務用品費、広告宣伝費、電話やネットなどの通信費がかかってきます。これら費用を一つ一つ積み上げていき、利益計画を作成します。

損益分岐点を知る

損益分岐点とは、利益が出るぎりぎりの売上高のことです。ある売上高を基準として、それ以上売上をあげれば利益が出るし、そこを下回ると損失が出てしまうということです。

固定費と変動費

ここで、基本料金と利用料金がかかるサービス(例えば電気やガス、携帯電話など)を想定してみてください。携帯電話だとしたら、どのプランが一番お得でしょうか?

プラン 基本料金 利用料金
10分 20分 30分 40分 50分 60分
A 1,000円 500円 1,000円 1,500円 2,000円 2,500円 3,000円
累計 1,500円 2,000円 2,500円 3,000円 3,500円 4,000円
B 2,000円 250円 500円 750円 1,000円 1,250円 1,500円
累計 2,250円 2,500円 2,750円 3,000円 3,250円 3,500円
C 2,500円 150円 300円 450円 600円 750円 900円
累計 2,650円 2,800円 2.950円 3,100円 3,250円 3,400円

Aプランは基本料金は1,000円ですが、10分毎に500円の利用料金がかかります。Bプランは基本料金は2,000円ですが、10分毎に250円の利用料金がかかります。Cプランは基本料金は2,500円ですが、10分毎に150円の利用料金がかかります。

上の表で太字のところがお得なプランになります。見てわかるように、40分まではAプランが最安、500円ではBプランが最安、60分を超えるとCプランが最安となります。

会計では、この基本料金=使っても使わなくてもかかる費用のことを「固定費(固定費)」といい、利用料金=使えば使うほどかかる費用のことを「変動費(変動費)」といいます。

固定費

固定費とは、売上の大きさに関わらず、常に固定的にかかる費用です。ラーメン屋でいえば、店舗の家賃・人件費・設備のリース料などがあります。

これらの費用は、一度決めたら後から減らすことが難しく、また、仮にお店を開けていなくてもかかってしまうものなので、なるべくコストを抑えたほうがよいものです。

変動費

一方変動費とは、売上の大きさによって金額が変動する費用です。ラーメン屋でいえば、麺・スープやチャーシューなどの原材料費が該当します。売上が多くなれば仕入れる(使う)原材料も多くなりますし、売上が少なくなれば反対に小さくなります。

変動費は固定費と異なり、ある程度コントロールが可能な費用になります。

損益分岐点

損益分岐点とは、正確には「損益分岐点売上高」のことで、利益がちょうどゼロとなる売上高のことです。これまで解説してきたように、「売上-費用=利益」ですから、利益がちょうどゼロとなるのは「売上=費用(固定費+変動費)」となる場合=損益分岐点売上高になります。

この損益分岐点売上高(例えば1ヶ月)の計算方法ですが、①1ヶ月の固定費を計算する②変動費率を計算する③数式にあてはめて損益分岐点売上高を計算する、という流れになります。

①1ヶ月の固定費を計算する

まず1ヶ月の固定費を計算します。これはさきほど確認したように、家賃・人件費・設備のリース料など、売上がなくてもかかってしまう金額を足していきます。ここでは例として100万円で計算します。

②変動費率を計算する

変動費率とは、売上高に対する変動費の割合です。ラーメン屋のケースであれば、ラーメン1杯850円で販売するのに対し、原材料費や水道光熱費がどれぐらいかかるかを計算し、その割合を率であらわします。

例えば原材料費や水道光熱費などの変動費(原価)を計算すると289円だったとします。その場合、289円÷850円=34%と計算できます。

③数式にあてはめて損益分岐点売上高を計算する

損益分岐点売上高は、下の数式で計算することができます。

損益分岐点売上高=固定費÷(1ー変動費率)

①固定費と②変動費率が導き出し、この数式にあてはめてみます。

損益分岐点売上高=100万円÷(1-0.34)≒152万円

損益分岐点売上高は152万円と計算できます。1ヶ月に152万円以上(ラーメン1杯850円なので約1789杯)売上をあげれば、利益が出るということがわかります。起業したら、最低でもこの売上を目指して頑張ることになります。

資金繰りを計算する

この記事でも何回か触れているように、起業で一番多い失敗は「お金が足りなくなる」という状況です。特に注意すべき点は、利益が出ていてもお金が足りなくなることがあるということです。

企業は利益が出ていなくても、お金が手元にあり支払いができれば事業を継続することができます。逆に言うと、利益が出ててもお金が足りず支払いができなくなれば、それ以上事業を続けたくても続けることができないので、経営は破綻します。いわゆる「黒字倒産」ですね。

そのため、起業家や経営者(特に零細企業や中小企業)は、事業を続ける中でお金が足りなくなるかどうかを常に気にして、足りなくなりそうなら出費を減らしたりどこからか調達したりして、常にお金が残るようにしていきます。これが「資金繰り」です。資金繰りとは、現在手元にあるお金から、「お金が入ってくる予定」と「お金が出ていく予定」をもとに収支を計算し、将来残るお金を計算することをいいます。

例えば、雑貨屋を経営しているとします。月初のいま現金で100万円手元にあるとします。月末までに入ってくるお金として現金売上が200万円ありそうなら、手元現金100万円+現金収入200万円で月末には300万円になりそうです。一方で、月末までに出ていくお金としては、先月仕入れた商品代金の支払いが100万円あり家賃や給料の支払いがさらに100万円あるとすれば、合計200万円になります。今あるお金100万円+入ってくるお金200万円-出ていくお金200万円=100万円が、月末に残るお金になります。

ここで気をつけなければならないのは、売上と入ってくるお金は必ずしもイコールではないという点です。

例えば雑貨屋の例ですが、売上200万円のうち50万円が現金で、150万円はクレジットカード(2ヶ月後に入金)とします。月初のいま現金で100万円あり、月末までに入ってくるお金としては現金売上の50万円のみですから、手元現金100万円+現金収入50万円で月末には150万円になりそうです。一方で、月末までに出ていくお金としては、先月仕入れた商品代金の支払いが100万円あり家賃や給料の支払いがさらに100万円あり、いずれも現金で支払う必要があるので合計200万円になります。今あるお金100万円+入ってくるお金50万円-出ていくお金200万円=-50万円が、月末に足りないことになってしまいます。

このように資金繰りを計算してみて足りない場合は、①入ってくるお金を増やすか、②出ていくお金を減らすのどちらかを行う必要があります。

①入ってくるお金を増やす方法としては、現金売上を増やす・個人の貯金を会社に入れる・銀行など外部から借りるなどの方法があります。②出ていくお金を減らす方法としては、現金の支払いを減らす・経費など出費を抑える・支払いを延ばすなどの方法があります。

資金繰りを計算するコツは、収入を少なく支出を多め(固く)に見るということです。予想外の思わぬ出費はあるもので、また、売上が上がらなくてもかかる経費があるということがポイントです。

起業するにあたって、最大といってもいいぐらい重要なのが、この「資金繰り」なのです。事前にしっかりと準備しましょう。

この記事のまとめ

この記事で解説した内容をまとめました。

  • 起業家にとっては「ロマン(起業する目的」「ソロバン(数値で管理)」「ジカン(スケジュールを設定)」の3つが重要です。
  • 起業するときに必要になるお金には、「初期投資」と「3~6ヶ月の生活費」があります。これらの必要資金は自己資金を原則として、不足分は融資・出資・補助金や助成金でまかないます。
  • 実際に事業を始める前に、売上と費用を予測・計算して売上利益計画を作成することで、事業の成功可能性を高めることができます。特に、損益分岐点がどこにあるのかを知っておくことが重要です。
  • 入ってくるお金と出ていくお金を計算して、事業を続けてお金が残るかどうか=「資金繰り」を計算することが重要です。特に、売上は必ずしも収入とイコールにならないことに注意が必要です。

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